書評
細胞診のベーシックサイエンスと臨床の実際
小松 京子
1
1つくば臨床検査教育・研究センター
pp.1241
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209506
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
細胞診断の力量のさらなるSTEP UPをめざして
『細胞診のベーシックサイエンスと臨床病理』が発行されたのは1995年である.細胞像から診断を推定するアトラスとは異なり,科学的な視点に基づく他にはないタイプの本であり,長きにわたり愛用した.待望のリニューアル版である本書はさらに進化し,時代に即した内容となっている.
第1章では基礎知識である分子生物学や遺伝子関連の知識はもとより,がん化のメカニズム・遺伝性腫瘍・腫瘍免疫など,多くの細胞診の教本にはあまり詳細に書かれていないところが丁寧に解説されている.ゲノム医療に関する第2章は最新情報満載で,NGS・がんゲノムプロファイリング・分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬・がんゲノム医療に関する事項・ゲノム診療における細胞診検体の取り扱いなどがエキスパートによってわかりやすく解説されている.がん遺伝子検査の精度管理や遺伝子パネル検査の現状などは,臨床現場にとって非常に重要な事項である.さらなる進化を遂げる領域であり,病理細胞診領域にも深く関わる分野である.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.