FOCUS
頭部外傷診療における血液バイオマーカーの活用
末廣 栄一
1
1国際医療福祉大学成田病院脳神経外科
pp.1212-1215
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209498
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はじめに
血液検査のみで低侵襲的に疾患の診断や病態進行の予測,治療効果の評価などが可能である血液バイオマーカーの有用性は高い.一般的には腫瘍の治療効果の評価や,再発の有無の評価における腫瘍マーカーの使用が散見される.救急医療分野においては,虚血性心疾患領域での活用が最も多い.例えば,胸痛を主訴とする患者に対して高感度心筋トロポニンIを用いた評価を行い,見逃しによる病態の悪化を防ぎ,転帰改善に貢献している.
近年,頭部外傷の分野においても血液バイオマーカーの活用が試みられている.特に軽症頭部外傷では,その臨床症状が乏しい上に,突然かつ急激に病態が悪化して転帰不良となるケースが散見される.そのため,軽症頭部外傷と甘く見ずに迅速に診断して,病態進行の予測をすることが重要である.
これまで,頭部外傷の診断は,頭部CTの撮影像を用いて行ってきた.しかし,頭部CTを撮影できる施設は限られており,制約が生じる.そこで,頭部外傷をより簡便に診断する試みとして,血液バイオマーカーが注目を集めている.本稿では,頭部外傷の評価に用いられる血液バイオマーカーの紹介と,臨床現場における有用性について概説する.
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