臨床医からの質問に答える
日本では抗核抗体の国際分類は採用されないのでしょうか?
林 伸英
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1神戸常盤大学保健科学部医療検査学科
pp.804-808
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209396
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はじめに
抗核抗体(antinuclear antibody:ANA)検査は,膠原病や肝疾患などの自己免疫疾患の診断や病態の把握において重要な検査で,現在ではヒト喉頭癌由来培養細胞であるHEp-2細胞を基質(核材)とした間接蛍光抗体法(indirect immunofluorescence assay:IFA)がANA検査の一次スクリーニングとして広く用いられている.
ANA検査のハーモナイゼーションは進んでいなかったが,近年,ANA検査の染色型に関するコンセンサスを推進するために国際的ワークショップとしてInternational Consensus on Antinuclear Antibody Patterns(ICAP)が組織された.第1回の会合は2014年にサンパウロで開催され,2年に1回程度の会合を継続して行う新たなプロジェクトが進められている1).公式ウェブサイト2)において,染色型命名と分類,対応抗原と臨床的意義の解釈などが発信されている.
日本の日常検査としてのANA検査の染色型は,以前から報告されている基本分類が用いられていることが多く,ICAPによる分類を用いている施設は少ない.本稿では,ICAPによるANA検査の染色型分類を紹介するとともに,日本での現状や問題点を解説する.
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