臨床検査のピットフォール
DOAC服用患者の凝固検査結果の解釈
窓岩 清治
1
1東京都済生会中央病院臨床検査医学科
pp.716-719
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209369
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はじめに
直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)は,特定の活性型凝固因子を選択的に阻害することを目的に開発された経口薬である.DOACは,静脈血栓塞栓症や非弁膜症性心房細動患者を対象とした大規模臨床試験において,あらかじめ設定された用量(固定用量)を服用することにより,用量調節が必要なワルファリンと同等以上の有効性と安全性が得られることが示されている.DOACには活性代謝物が抗トロンビン作用をもつダビガトランと,活性型第Ⅹ因子(FⅩa)を選択的に阻害するリバーロキサバン,アピキサバンおよびエドキサバンがある(図1)1).DOACは血中半減期が5〜14時間と短く,服用1〜4時間後で血中濃度が最も高くなるピーク期と,服用直前で血中濃度が最も低くなるトラフ期が存在する.DOACは一般凝固検査に対して,血中濃度依存性に影響を与える.
本稿では,DOACの服用患者において,凝固検査の結果を解釈するために必要なポイントについて述べる.
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