増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド
5章 疾患まとめ
小児領域のDIC
江上 直樹
1
,
落合 正行
2
,
石村 匡崇
3
,
大賀 正一
1
1九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野
2九州大学環境発達医学研究センター
3九州大学大学院医学研究院周産期・小児医療学
キーワード:
DIC
,
新生児
,
ビタミンK
Keyword:
DIC
,
新生児
,
ビタミンK
pp.1101-1105
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209120
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疾患概念・病態生理・発生機序
早産児,新生児から成人に至るまで,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)の疾患概念に相違はない.しかしながら,新生児,小児では特にDICの発症リスクが高く重症化しやすいため,速やかな診断,治療が必要となる.
新生児期は,血液凝固因子の大半を産生する肝機能が未熟である.とりわけビタミンK依存性因子である第Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子は低値であり,その傾向は早産児ほど顕著となる.一方,凝固抑制因子であるプロテインC(protein C:PC),プロテインS(protein S:PS),アンチトロンビンなども肝臓で産生されるビタミンK依存性因子であり,低値である.生理的な状態では凝固因子と凝固抑制因子がともに低値でバランスが保たれるが,一度なんらかの要因でこのバランスが崩れると,容易にDICを発症する.
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