臨床検査のピットフォール
造血器腫瘍におけるFCM検査結果解釈時の注意点—非典型例への対応
稲葉 亨
1
,
松本 和道
1
1京都府立医科大学附属病院臨床検査部
pp.1182-1186
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208513
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はじめに
フローサイトメトリー(flow cytometry:FCM)は細胞の大きさを反映する前方散乱光(forward scatter:FSC)や内部構造を反映する側方散乱光(side scatter:SSC),さらには細胞膜表面や細胞質内に存在する各種抗原を2〜3時間以内に定量可能であり,造血器腫瘍の表現型診断には不可欠の検査法である.典型的な表現型を示す症例では診断に迷うことは少ないが,CD38,CD45,細胞表面免疫グロブリン(surface membranous immunoglobulin:SmIg)など,主要な疾患の表現型を特徴付ける抗原が非典型的な発現パターンを示した場合には診断を誤る可能性もある.本稿ではこのような非典型例における表現型診断時のポイントを概説する.
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