臨床検査のピットフォール
造血器腫瘍遺伝子検査結果の解釈
石毛 崇之
1
1千葉大学医学部附属病院検査部
pp.1250-1252
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208181
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はじめに
分子生物学の発展により,造血器腫瘍(白血病,リンパ腫,骨髄腫など)の分子病態が次々と明らかになっている.染色体・遺伝子レベルでのさまざまな異常が同定されており,これらの検査は造血器腫瘍の病型分類・予後予測・治療法選択の決定に重要な役割を担っている.急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の分類においては,形態学を基本としたFAB(French-American-British)分類から,特徴的な染色体・遺伝子異常を加味したWHO(World Health Organization)分類が主流になってきている1).
また,遺伝子異常を標的とした分子標的薬の開発も進んでおり,例えば,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)におけるBCR-ABL1(breakpoint cluster region-Abelson murine leukemia 1)融合蛋白質を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬はCMLの治療成績を劇的に向上させた.臨床検査においては,染色体検査に加えて,より感度に優れた遺伝子検査が普及しつつあるが,検査結果を正しく解釈するためには,これら検査の特性を知っておく必要がある.本稿では,造血器腫瘍のなかでもCMLを中心に遺伝子検査のポイントを記載する.
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