増刊号 病態別 腹部エコーの観察・記録・報告書作成マスター
Ⅰ 基本断面の撮り方と報告書作成の基本
報告書作成の基本
八鍬 恒芳
1
1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部
pp.948-961
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208486
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はじめに
報告書作成には,検査目的に明確に答えるような所見記載が重要である.また,目的以外に重要な所見が見つかる場合もあり,依頼医が目的以外の病態に注目できるように,わかりやすくポイントを絞った所見記載の工夫も必要である.医師はエコー像に精通しているとは限らず,画像の見かたや場合によってはシェーマなどを添えて“なぜそのような所見記載に至ったか”を明確に示す必要がある.この場合,シェーマだけでなく,画像とシェーマをセットで確認してもらい,エコー像への理解を深めてもらう努力も必要である.また,形式的な表での所見記載は,どんな場合であっても確実に全体を観察している証明として重要であり,これにより冷静なデータの見かたが可能となる.
すなわち,①目的にフォーカスを絞った明確な所見と,②冷静な全体像把握の所見,この2つを兼ね備えた所見記載がレベルの高い報告書といえる.基本となる検査が終了した時点で,所見記載に必要な画像が記録されているのはもちろんのこと,ある程度の記載内容が考えとしてまとまっている必要がある.明確な文書化により依頼医に考えを伝えるためには,以下が必要項目として挙げられる.
◎依頼医が求める報告書のポイント
・検査目的に明確に答えている.
・全体像を確実に観察した証明となる所見記載がされている.
・診断基準に則した記載である.
・治療方針など,次の診療ステップに進むための記載がされている.
・文章は短く,略語や専門用語をできるだけ使用せずに平易な表現を行っている.
・画像とシェーマが所見記載とリンクし理解しやすい.
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