増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法
真菌
ムーコル目菌(接合菌)—Mucor spp., Rhizopus spp.など
奈須 聖子
1
1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部
pp.404-407
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208334
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Summary
近年,免疫不全患者の増加に伴い,深在性真菌症が増加している.まれに外傷などに続発する限局性の皮膚ムーコル症を除けば,最も急性に進行し予後不良な真菌症と知られていることからも,検出された場合は迅速に報告することが望ましい.
また,分子生物学的手法を用いた系統分類により2007年に接合菌門がなくなり,新分類におけるケカビ亜門のムーコル目(Mucorales)に属するため,感染症はムーコル症(mucormycosis)と呼ばれている.
ヒトにおけるムーコル症の原因菌は,ムーコル(Mucor)属,リゾプス(Rhizopus)属,リゾムーコル(Rhizomucor)属,リクテイミア(Lichtheimia)属〔アブシジア(Absidia)属〕,クスダマカビ(Cunninghamella)属,ハリサシカビモドキ(Syncephalastrum)属などがある1).これらの構造体は他の真菌に比べ特徴的であるため,属レベルの同定が容易にできるよう本稿で述べていく.
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