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ディスク法による迅速薬剤感受性検査:EUCAST RAST
大柳 忠智
1
1聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部細菌検査室
pp.772-776
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208066
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はじめに
微生物検査は大きく分けて,分離培養,菌種同定,薬剤感受性の3つの工程に分類され,おのおのの検査方法や技術・測定試薬・測定機器は常に進歩し続けている.特に菌種同定検査は,質量分析などの多くの革新的な技術開発・導入により,数年前に比べて検査時間や精度が格段に上昇した.しかしながら薬剤感受性検査では,耐性菌検出のための簡易迅速キットや全自動遺伝子機器など,耐性遺伝子の検出技術の発展はあるものの,遺伝子保持=耐性菌とはならず,最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)の測定にいまだ時間がかかっているのが現状である.
感染症治療において適切な抗菌薬の選択は,その抗菌活性の特徴や体内動態,原因菌の薬剤感受性などを考慮して決定される.したがって,原因菌の薬剤感受性を知ることは抗菌薬を選択するうえで大きな情報となる.特に血液培養から検出された菌は菌血症や敗血症の原因菌であることが推測され,検出菌を同定し薬剤感受性検査を行うことは感染症治療において最も重要な検査である.
EUCAST(The European Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing)は,血液培養から検出された微生物に対し,培養ボトルから直接迅速に薬剤感受性検査を行うRAST(rapid antimicrobial susceptibility testing)を推奨しており,その手順が公開されている1).本稿では詳細な方法や問題点,精度管理方法について記載する.
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