FOCUS
がんゲノム医療中核拠点病院における臨床検査技師の役割と貢献
柳田 絵美衣
1,2
1慶應義塾大学医学部病理学教室
2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.24-28
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207859
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がんゲノム医療とがんゲノム医療中核拠点病院
厚生労働省によると,2017年のわが国におけるがんによる死亡者数は373,334人(男性220,398人,女性152,936人)1)であり,がん罹患数は年々増加している.
ヒトゲノム解析計画では,2013年に1人分の全ゲノムが解析された.ゲノム研究が進むにつれて,がん発生に“遺伝子変異”がかかわっていることが明らかになった.現在,コンパニオン診断を含め,特定の遺伝子変異をターゲットとした治療薬剤が開発され,治療に使用されている.がん発生の原因となっている遺伝子変異は,患者ごとにプロファイルが異なるため,患者ごとに効果が期待できる薬剤も異なる.“がんゲノム医療”は,がん患者の遺伝子変異を調べ,治療薬剤やエントリー可能な治験情報を探索,提供するものであり,がん領域の“個別化医療”といえる.しかし,個人特定に直結するゲノム情報は厳重に取扱う必要があり,技術やシステムなどの環境が整備された施設にて,がんゲノム医療を行うことが求められた.この医療を提供する施設として,2018年2月に厚生労働省は11施設の“がんゲノム医療中核拠点病院”(以下,中核拠点病院)と,100施設の“がんゲノム医療連携病院”(以下,連携病院)を指定した.中核拠点病院は,表1に挙げた役割を担うことが求められている.
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