FOCUS
家族性高コレステロール血症—超音波によるアキレス腱厚計測の有用性
小倉 正恒
1
,
道倉 雅仁
1
,
斯波 真理子
1
1国立循環器病研究センター研究所病態代謝部
pp.1174-1177
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207769
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はじめに
家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia:FH)は著明な高LDLコレステロール(low-density lipoprotein cholesterol:LDL-C)血症,アキレス腱肥厚をはじめとする黄色腫,若年性冠動脈疾患を特徴とする遺伝性代謝疾患である.FHは冠動脈疾患の罹患頻度が極端に高く,その発症年齢が通常より15〜20歳若いことから1),早期診断と適切な治療による動脈硬化症の発症および進展の予防が重要である.FHヘテロ接合体は200〜500人に1人の高頻度で認められ,わが国だけでも30万人以上存在する.急性冠症候群患者の5〜10%がFHであるという報告も散見されることから2),公衆衛生上,わが国の循環器疾患において最も重要な基礎疾患の1つといえる.
FHの早期診断率が低いために心筋梗塞を発症して初めて診断される症例が多いこと,またFHと診断されないために適切な脂質低下治療を受けていない患者も多いこと,さらに家族スクリーニングが不十分なために本来であれば予防できるFH患者の家族の心血管イベントを阻止できていないことは極めて重要な課題であり,具体的な改善策を講じる必要性に迫られている.本稿では,FHの診断やリスク評価に有用なアキレス腱エコーについて解説する.
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