技術講座 生化学
シリーズ 生化学検査の基本・1
脂質検査
佐藤 亮
1,2
,
吉田 博
1,2,3
1東京慈恵会医科大学附属柏病院中央検査部
2東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座
3東京慈恵会医科大学大学院代謝栄養内科学
pp.882-889
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207647
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Point
●主な脂質検査には,総コレステロール(TC),中性脂肪(TG),高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C),低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)がある.基準範囲ではなく臨床判断値より高値または低値の場合,脂質異常症が診断されるが,自覚症状に乏しい.
●TGを豊富にもつ超低比重リポ蛋白(VLDL)は,リポ蛋白リパーゼ(LPL)の働きなどによって中間比重リポ蛋白(IDL)さらには低比重リポ蛋白(LDL)となり,コレステロールは末梢組織に供給される.一方高比重リポ蛋白(HDL)は,余分なコレステロールを末梢組織から除去し,肝臓に転送する.
●LDL-Cは,空腹時かつTG 400mg/dL未満の場合,Friedewaldの式(F式)から求めることができる.食後採血やTG 400mg/dL以上の場合,non-HDL-CまたはLDL-C直接法による評価が推奨されている.
●脂質異常症のタイプ分類として,アガロースゲル電気泳動法とポリアクリルアミドゲル電気泳動法がある.また最近,陰イオン交換クロマトグラフィを用いたリポ蛋白分画(HPLC法)が保険承認された.
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