臨床検査のピットフォール
急性心筋梗塞における壁運動評価のピットフォール
岩倉 克臣
1
1桜橋渡辺病院循環器内科
pp.1370-1373
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207436
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はじめに
急性心筋梗塞ではdoor-to-balloon時間を短縮することが重要で,心エコーの実施には時間的制約が大きい.救急では最適でない状況で検査を行わなければならず,被検者の体格などに加え,頻脈,頻呼吸などで適切な画像が得られないことも多い.多枝病変や側副血行路の存在する症例では壁運動異常の分布も複雑で,病態の解釈も困難である.これらにより,壁運動評価を苦手とする方も多い.画像描出の工夫も必要であるが,むしろ重要なのは左室壁運動の解剖学的理解である.解剖が理解できれば,見るべきポイントがわかり,短時間で必要な情報を得ることができる.また,画像が不良であっても病態を推測でき,複雑な病態の解釈も可能となる.
本稿では,上記のような急性心筋梗塞における壁運動評価のポイントとピットフォールについて述べる.
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