臨床検査のピットフォール
—非糸球体型赤血球なのに糸球体型赤血球と間違いやすい—膜部顆粒成分凝集状脱ヘモグロビン赤血球の鑑別
野崎 司
1
,
浅井 さとみ
2
,
宮地 勇人
2
1東海大学医学部付属病院臨床検査技術科
2東海大学医学部付属病院基盤診療学系臨床検査学
pp.1187-1191
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207379
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はじめに
上部尿路(糸球体性血尿)と下部尿路(非糸球体性血尿)の出血では,尿中に認める赤血球形態が異なり,出血部位を推定するうえで重要な情報となる.一般に糸球体からの出血(糸球体性血尿)の場合,赤血球がコブ状,標的状,ドーナツ状など,標本内の赤血球形態は多彩となる(図1).
しかし,赤血球形態は尿比重,pHをはじめとする尿中に含まれる諸因子によっても形態変化をきたし,両者の鑑別に苦慮する場合がある.本稿では非糸球体型赤血球のなかで,近年,新たに報告された膜部顆粒成分凝集状脱ヘモグロビン赤血球(以下,膜部顆粒赤血球)1)の鑑別ポイントおよびその背景の特徴を述べる.
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