増刊号 一般検査ベーシックマスター
第1部 基礎から学ぼう一般検査
穿刺液検査—胸水・腹水,関節液
保科 ひづる
1
1諏訪中央病院技術部検査科
pp.268-276
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206773
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はじめに
胸腔・腹腔および関節腔から得られた穿刺液検体については,検査は行われているが検査マニュアルとしては示されていない.今回,見直したい検査項目などを含め,細胞数算定や分画などの検査結果を診療へ導けるように解説したい.胸腔や腹腔,関節腔は,中皮細胞または滑膜細胞で覆われ,通常でも少量の液が潤滑剤として存在し,胸水・腹水は腔内の臓器の摩擦や癒着を防いで保護し,関節液は関節の潤滑作用と軟骨の栄養補給をしている.胸水や腹水は,胸腔や腹腔内の血管内静水圧と血漿膠質浸透圧とのバランスで均衡を保って一定量に保たれているが,そのバランスが崩れると貯留してくる.関節液は,滑膜が何らかの原因で炎症を起こした場合に,増量して貯留する.穿刺液検査は,その貯留原因を突き止め,治療へと結びつけるために施行される.
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