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はじめに
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae:CRE)はアジアやヨーロッパ,アメリカを中心に世界中で検出例が報告されている.カルバペネマーゼを産生する菌種やカルバペネマーゼの種類もさまざまであり,メタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-β-lactamase:MBL)やKPC(Klebsiella pneumonia carbapenemase)型β-ラクタマーゼ,OXA(oxacillinase)型β-ラクタマーゼなどが広がっている1〜3).そのため,耐性菌や耐性遺伝子の特性に分けていろいろなスクリーニング方法を利用しながら,カルバペネマーゼ産生の有無を確認しなければならないのが現状である4,5).また,国内のCRE検出状況は,JANIS(Japan Nosocomial Infections Surveillance)データでメロペネム(meropenem hydrate:MEPM)耐性の主な腸内細菌科細菌の検出率はEscherichia coli 0.1%,Klebsiella pneumoniae 0.3%,Enterobacter cloacae 0.4%,Enterobacter aerogenes 0.3%とまだ低いが6),輸入感染事例や大規模なアウトブレイク事例の報告もあり,油断はできない状況である7,8).
薬剤感受性ではカルバペネム系薬のなかでもイミペネム(imipenem:IPM)は感受性となりやすく,IPMを指標にして感受性結果のみで判断した場合は薬剤耐性菌を見逃してしまう可能性がある4,9).そのため,IPM以外のカルバペネム系薬でのスクリーニング検査に加えて,耐性メカニズムに合わせたEDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)やメルカプト化合物との阻害反応10),改良ホッジ(Hodge)試験によるスクリーニングを行うことが推奨されてきた11)が,主観的な現象を捉えて判定を行うものであるため初心者では解釈が難しいことが多かった.
そこで2013年に,Nordmannら1)が,CREのスクリーニング検査としてCarbaNPテストを開発した.これは色調変化でカルバペネマーゼの確認をする検査法であり,2015年になると,CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)のドキュメントにそれまで記載されてきた改良ホッジ試験に代わり,カルバペネマーゼのスクリーニング方法として推奨されるようになった12).筆者らも2014年から,カルバペネマーゼのスクリーニングにCarbaNPテストをルーチン検査として導入し,検査を実施してきたが,以前から行ってきたカルバペネマーゼのスクリーニング検査に比べて簡易に数時間で判定ができる検査方法であり,活用する機会がある.今回はCarbaNPテストについて紹介をする.
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