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本年度第61回国家試験から新しく国家試験出題基準(新ガイドライン)が適用となりました.そこで前回(本誌43巻11号)に引き続き,臨床化学分野で新しく追加になった3項目のうち疾患マーカーからの出題を取り上げてみました.
疾患マーカーとして,今回(A)〜(E)の5項目が追加されています.(A)肺疾患:KL-6(問題2),アンギオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)(問題1),(B)感染症:(1→3)β-D-グルカン,プロカルシトニン(procalcitonin:PCT),(C)心疾患:脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP),トロポニン,(D)腎疾患:シスタチンC,(E)その他:アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase:ADA),アルドラーゼ,脂肪酸結合蛋白(fatty acid binding protein:FABP)となっています.問題1の3.ACEは,肺や腎の内皮で産生され,アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換させる酵素です.レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系で働き,体液量および血圧の調節に関与しています.一方,サルコイドーシスは,肺,リンパ節,皮膚,眼,心臓,筋肉などに類上皮細胞肉芽腫が形成される疾患です.肉芽腫の類上皮細胞(マクロファージ由来)が産生し,3.ACEが高値となります.ほかに珪肺症などの肉芽腫性疾患,甲状腺機能亢進症などで上昇します.問題2の1.KL-6はⅡ型肺胞上皮細胞で産生されるシアル化糖鎖抗原の一つで,間質性肺炎(活動期)で高値となります.2.トロポニンは急性心筋梗塞,3.シスタチンCは腎不全,腎機能低下など,4.エンドトキシンはグラム(Gram)陰性菌感染症,エンドトキシン血症,5.プロカルシトニンは敗血症(細菌性),ウイルス感染症,真菌感染症,自己免疫疾患,手術後,外傷後などで上昇します.
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