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腫瘍免疫とは,腫瘍細胞が樹状細胞などの抗原提示細胞に取り込まれ,抗原がCD4+T細胞に提示され,T細胞から産生されるIL-2(interleukin-2)などのサイトカインがNK(natural killer)細胞やCD8+細胞傷害性T細胞を活性化して,腫瘍細胞を攻撃することである.この腫瘍免疫を利用した治療法も研究されている.腫瘍マーカーは,悪性腫瘍細胞から遊離した胎児性抗原,糖鎖抗原や蛋白抗原で血清中に検出され,腫瘍の診断に有用な物質である.腫瘍(疾患)に対して陽性を示す割合を感度というが,早期癌では感度が不十分で陰性を示すことがある.その腫瘍(疾患)でない人が陰性を示す割合を特異度という.一方,炎症性疾患などでも陽性を示す場合があり,非特異反応という.胎児性抗原であるCEA(carcinoembryonic antigen)は消化器癌や肺癌で,AFP(α-fetoprotein)は肝癌で検出される.糖鎖抗原はCA(carbohydrate antigen)19-9が膵癌や胆管癌で,CA125,CA130が卵巣癌,子宮癌で,CA15-3が乳癌で検出される.蛋白抗原ではSCC(squamous cell carcinoma related antigen),CYFRA21-1(cytokeratin 19 fragment),PIVKA-Ⅱ(protein induced by vitamin K absence or antagonist-Ⅱ),PSA(prostate specific antigen)が検出される.特定の臓器の腫瘍でのみ検出されるマーカーを,臓器特異性が高いという.特にPIVKA-Ⅱは肝臓癌,PSAは前立腺癌に特異的である.腫瘍細胞では細胞の増殖や修復を行うp53遺伝子に変異が起こり,血清中にp53抗体が検出される.
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