検査法の基礎理論
膿の培養
中村 功
1
,
国広 誠子
2
1山口県立中央病院内科
2山口県立中央病院中央検査部
pp.446-450
発行日 1989年5月1日
Published Date 1989/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205578
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サマリー
膿からはあらゆる種類の細菌が分離される可能性がある.とはいえ,病態や病巣の部位によって分離頻度が高い細菌の菌種はかなり限定できるので,臨床医も検査技師も病態ごとに主病原菌を熟知していなければならない.膿の細菌検査に当たって検査技師は臨床像を十分に把握して目的菌を絞り,それに適した培地,培養条件を選択するのが賢明である.
膿瘍を形成するような内因感染症では,ヒトの皮膚,粘膜の常在菌叢の主要構成員である嫌気性菌の存在を無視してはならない.ことに膿に悪臭がある場合や,臨床材料の塗抹標本で菌を認めるにもかかわらず好気培養陰性の場合などには嫌気培養が不可欠である.
膿の直接塗抹標本所見の価値は絶大である.
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