技術講座 血清
HBe抗原・抗体の検出法
米屋 乃夫子
1
1国立病院医療センター臨床検査科
pp.331-336
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205435
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B型肝炎(Hepatitis B;HB)(血清肝炎)ウイルスには,D. S. Daneによって見いだされた,直径42nmの二重構造をもつDNA型ウイルス(Dane粒子)があり,ヒト以外ではチンパンジーのみが感染する(図1).
ウイルス表面にはHBs抗原があり,直径22nmの小型球粒子あるいは桿状粒子としても存在し,流血中に多数出現している.またHBs抗原は四つのサブタイプ(adr,adw,ayw,ayr型)があり,その型は各地域に特徴ある分布を示している.ウイルスの中心部にある直径27nmの芯(コア)粒子には,表面の抗原性と異なるHBc抗原があり,さらにウイルスの芯にはDNAポリメラーゼ活性およびHBe抗原が存在し,HBe抗原は血中にも見いだされる.HBs抗原陽性の場合でもHBe抗原が陽性か,BHe抗体が陽性か,または感染初期(セロコンバージョン;血清転換)かの判断に大いに役だつ検査法である.
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