技術講座 血清
抗白血球抗体の検出法
井上 博雄
1
,
辻 公美
1
1東海大学医学部移植学教室2
pp.619-623
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205355
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Dausset1)による抗白血球抗体の発見はその後の移植学,免疫学の進歩と相まって,ヒト主要適合性抗原としてのHLA(Human Leucocyte Antigen)系の確立へと発展してきた.HLA抗原系は第6番染色体上の遺伝子領域により支配され,産生される同種(アロ)抗原系であり,HLA-A,B,C,D,DR抗原に大別される.それぞれの抗原系はHLA遺伝子領域内の異なる遺伝子座により支配され,各遺伝子座は多数の対立遺伝子を保有するため,表1に示すごとく多数の抗原2)が存在することとなる.またその遺伝子発現様式は共優性であり,未発見のものも存在するため,一人の個体の保有する抗原数は各抗原系(例えばHLA-A)について0〜2個であり,HLA-A,B,C抗原を合わせれば0〜6個である.
抗原検出の技術上の観点からHLA-A,B,C,DR抗原はSD(Serologically Defined)抗原と呼ばれ,血清学的に検出され,HLA-D抗原はLD (Lymphocyte Defined)抗原と呼ばれ,リンパ球を用いて行われる混合リンパ球培養テスト(MLC)で決められる.本稿においてはSD抗原系に対する抗HLA抗体の検出法,ならびにその特異性の決定について解説する.
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