感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[6]同定法
B 種別同定法
4 抗酸菌
斎藤 肇
1
1島根医科大学微生物免疫学教室
pp.837-842
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205056
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はじめに
1950年代に入り,非結核性抗酸菌(非定型抗酸菌)と一般に呼ばれている結核菌以外の抗酸菌,ならびにそれによるヒトの肺結核様疾患が学界の注目の引くところとなり,この方面の研究が米国をはじめとして欧州諸国,わが国でも活発に行われるようになった.そして,これまで記載を見なかった多数の抗酸菌菌種が提案・承認され,また,それらのヒトに対する起病性も明らかにされてきた.従来,この種の抗酸菌は雑菌的意義しかないものとしてあまり顧みられなかった.しかし,時に肺結核類似症の原因となる場合があり,また最近では特に米国においてエイズ(acquired immunodeficiency syndrome)の日和見感染の原因菌として注目されているものもあること,さらに,これらの多くは抗結核剤をはじめとする諸種の抗菌剤に対して抵抗性を示すことのために,結核菌はいうに及ばず,非結核性抗酸菌の同定もきわめて重要な意義をもつことになる.
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