感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[5]培養法
A 検体別培養法
7)糞便
深見 トシヱ
1
1東京都立駒込病院臨床検査科
pp.754-757
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205037
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従来の糞便の細菌学的検査は,単に腸管系法定伝染病菌の有無を明らかにすれば,主なる検査目的は達成されると考えられていた.しかし,現在では急性感染性腸炎のほかに薬剤関連の偽膜性腸炎,菌交代性ブドウ球菌腸炎,あるいはアンピシリン(ABPC)などのペニシリン系広域抗生物質投与後に誘発される急性出血性大腸炎,臓器移植患者の手術前後に実施される腸管内無菌化のための監視培養(surveillance culture)など,それぞれの患者の病態に応じて検査目的が異なり,したがって患者の診断と治療のための検査を実施するためには臨床医からの情報が特に必要な検査領域である.また近年特に感染性腸炎の研究の進歩が著しく,下痢起病性大腸菌をはじめいくつかの菌についての発症機構の解明がなされたために,腸管系法定伝染病菌の検出を基本に置きながらも,その他の病原菌についても幅広く検索を進める方向にある.
そこで,以下にウイルスと原虫を除く糞便の培養法を中心に記述することとする.
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