感染症の検査法 Ⅱ 感染症各論
[12]皮膚・軟部組織感染症
梅村 茂夫
1
,
荒田 次郎
2
1岡山市立市民病院皮膚科
2岡山大学医学部皮膚科学教室
pp.666-669
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205005
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はじめに
皮膚感染症には,一般細菌による化膿性疾患である皮膚一般細菌感染症,梅毒,結核,癩,真菌感染症,ウイルス感染症などが含まれるが,ここでは皮膚一般細菌感染症について述べることとする.
皮膚一般細菌感染症は後述するように,疾患によって原因菌がほぼ一定しており,他科のごとく,グラム陰性桿菌の分離頻度が増加してきているというようなことはなく,年度による分離菌種の差はみられず,皮膚一般細菌感染症は主としてグラム陽性球菌,中でもStaphylococcus aureusの関与が重要視される.そのうえ近年S.aureusのβ-ラクタマーゼ産生菌の増加,あるいはメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)の増加が問題となってきている.そこで,この稿では,皮膚一般細菌感染症の診断と分離菌,S.aureusのβ-ラクタマーゼ産生能およびMRSAの疾患との相関関係を最近の知見を交えて述べる.
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