免疫化学検査 わだい
クライオグロブリンの測定系への干渉
橋本 寿美子
1
1日本大学板橋病院臨床検査部
pp.790
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204599
- 有料閲覧
- 文献概要
血清検体を37℃以上に加温するかまたは37℃以下に冷却した場合に,凝固,ゲル化,沈殿形成などの肉眼的変化を示す蛋白を総称してthermoproteinと呼ぶ.クライオグロブリンの温度変化は一般的に可逆的であり,37℃以下に冷却した場合に白濁沈殿やゲル化を起こし,37℃に加温することによって再溶解する.
クライオグロブリンが白濁やゲル化などの性状変化を起こす温度は個々の症例によって大きく異なるが,通常の臨床検査業務が行われる温度条件下でも性状変化を示すクライオグロブリンの存在することは,それほどまれなことではなく,これらの検体は種々の測定系に干渉作用を示し,誤った測定結果を与えることがある.Cryoprecipitateを形成し始める温度は沈殿物量と密接な関係があり,沈殿物量はそのタイプに依存するところ3,4)が大きい.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.