技術講座 一般
便潜血試験
三宅 一徳
1
1順天堂大学臨床病理学
pp.159-163
発行日 1987年2月1日
Published Date 1987/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203990
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消化管出血は消化管を中心とした多種多様な疾患によって引き起こされ,特に消化管悪性腫瘍では唯一の症状である場合もあり,臨床的にもその重要性は高い.一般に50 ml以上の出血の場合は新鮮血便あるいはタール便として肉眼的にも認められるが,少量の出血の場合はヘモグロビンは腸管内で分解してヘマチンとなり,さらにヘマトポルフィリンとなるため,肉眼的には確認できないことが多い.いわゆる潜出血をきたす疾患は,図1に示すようにきわめて広範囲に存在する.
1864年Van Deenがグアヤック法を提唱して以来,便潜血反応はこれらの出血を伴う消化管病変の検索手段として広く一般的に行われてきた.しかし,便潜血反応は検査法上の制約が多く,消化管画像診断と内視鏡の進歩によりその臨床的意義が低下していると指摘されてきた.一方,食生活の欧米化に伴い,わが国でも大腸悪性腫瘍の増加が問題となり,効果的なスクリーニング法としての便潜血反応が再評価され,さらに最近便中のヒトヘモグロビンを検出する免疫学的検査法の開発もあり,便潜血反応は新しい時代を迎えようとしている.図1は,PTCR時の冠動脈造影の写真である.閉塞した右冠動脈がUrokinase 96万単位の冠動脈内投与で再開通している.
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