形態学的検査と技術 血液と病理
病理
[7]消化管・消化器の検査法—消化器病理における免疫組織化学の応用と実際
井藤 久雄
1
,
田原 栄一
1
1広島大学医学部第一病理学教室
pp.577-583
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203706
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はじめに
近年における免疫組織化学の進歩は,モノクローナル抗体を含む種々の良質な抗体の入手が容易となったことと相まって,病理組織学の分野に大きな影響を及ぼした.消化器病理の領域もその例外ではなく,各種抗原物質の局在を明らかにすることにより,これまでの組織形態学的知見を超えた新たな展開が広がった.これにより,各種消化器疾患の病因論を含む研究的側面のみならず,個々の病変のより詳細な検討が可能となり,免疫組織化学はすでに必須の染色手段であると断定しても過言ではない.
他方,現状においては個々の抗原物質ないしそれを認識する抗体の基礎的検討においては未解決の問題も多く残されているが,それにより免疫組織化学的検索の有用性が損なわれることはない.そこで本稿では消化器疾患の病理組織診断において,パラフィン包埋ブロックを用いて実施される免疫組織化学について概説するが,ここで取り上げた抗体の大部分はいずれも市販されており,入手可能なものである.
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