技術講座 一般
尿5-HIAA定性試験と尿VMA定性試験
猪狩 淳
1
1順大・臨床病理
pp.70-71
発行日 1974年12月1日
Published Date 1974/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200660
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1.5-HIAAとは
5-HIAAは5-hydroxyindole acetic acidの略語であってセロトニンの終末代謝産物である.セロトニンは好銀細胞(argentaffin cell)でトリプトファンから5-ヒドロオキシトリプトファンを経て生成される.生成されたセロトニンは,肝で脱アミノ化され,モノァミンオキシダーゼにより酸化され5-HIAAとなり尿中に排泄される(図1).上述の好銀細胞は正常でも回腸や虫垂に少数認められる程度であるが,この細胞が腫瘍性に増殖すると疲膚の発作性紅潮,多血性顔色,喘息様発作,下痢などの症状を表すカルチノイド症候群となる.したがってカルチノイド症候群では多量にセロトニンが産生され,尿には5-HIAAが著明に排泄される.尿中5-HIAAの検査はカルチノイド症候群のスクリーニング検査として用いられている.
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