検査を築いた人びと
腰椎穿刺を創めた ハインリッヒ・クインケ
深瀬 泰旦
1
1東京慈恵会医科大学医史学
pp.750
発行日 1985年8月1日
Published Date 1985/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203419
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病巣に一歩でも近づいて,自分の眼でその変化を確かめてみたい.それも,できるだけ患者に負担をかけないで,と考えるのは,臨床家の常である.腰椎穿刺によって脳脊髄液を採取し,その中の変化から脳それ自身の変化を知ろうとしたのが,クインケである.中枢神経系の疾患を解明するうえで,それまでにこのような簡単な臨床手技はなかった.この一事だけでも,クインケは医学の歴史に名をとどめるに値する.
ハインリッヒ・クインケは立派な医師の息子として,1842年8月26日にフランクフルト・アン・デア・オーデルに生まれた.のち家族とともにベルリンに移り,ギムナジウムを卒業後,ベルリンをはじめ各地の大学で,ウィルヒョウ,フォン・ケリカー,ヘルムホルツ,フレーリクスなどの著名な学者のもとで医学を学び,1867年フレーリクスの助手となった.
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