アーチファクト
細菌
小栗 豊子
1
1順天堂大学病院中央検査室
pp.1103
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203220
- 有料閲覧
- 文献概要
写真1 白濁の強い小児の胸水を接種したGAM半流動培地(左)と臨床用TGC培地である.2本の培地とも菌の発育が認められるが,その位置は表層よりかなり下部である.なお,比較的上部に認められるモヤモヤした部分は検査材料自体の混濁である.このような所見は嫌気性菌の発育を意味することが多い.しかしながら,この菌は肺炎球菌であった.患者は既に化学療法剤を投与されており,材料の濃厚部分(培地の比較的上部)にはこの影響が強いので,材料の希釈された下部に発育してきたものと考えられる.
写真2綿棒にて採取した眼脂をグラム染色したものである.赤色に染色されているものを,慣れない人では細菌以外のものと判定するであろうが,これは肺炎桿菌である.肺炎桿菌の中には著明な英膜を有するものがあり,このような菌は菌体の辺縁が滑らかでないことが多い.また染色性も薄くぼんやりと認められることがあり,細菌以外のものとして見逃されることが多い.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.