アーチファクト
血液
東 克己
1
1杏林大学病院中央検査部
pp.825
発行日 1984年9月1日
Published Date 1984/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203142
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現在,血液塗抹標本は病棟採血の場合,抗凝固剤加血液で提出されたものを一括して,引きガラス法により作製しているのが一般的である.今回,この塗抹標本作製時において,引きガラスによる細胞のキャリーオーバーについて取り上げた.
写真1は白血球分類においては特に異常を認めていなかった患者Aである.ある日突然,矢印のような芽球様細胞を標本上に数個認めた.写真2はその拡大像である.非定型性白血病を疑い,患者の耳朶から直接標本を作製し精査したが,芽球様細胞は全く認められなかった.しかし写真3(写真4はその拡大像)に示す白血病患者Bの細胞と形態学的に非常に類似していることに気づき,受付台帳を見ると,患者B,Aの順に受け付けされていた.Bの血液が引きガラスに付着し,これが塗抹時Aに混入したものである.
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