技術講座 生化学
エストロゲンの定量法
神戸川 明
1
1帝京大学産婦人科
pp.809-814
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202851
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エストロゲンの測定法の変遷
ホルモンの測定を初めたころは,幼若去勢雌マウスに検体を注射用油にとかして筋注して腟脂垢に角化細胞が現われる最少量をマウス単位として行ったが,1検体に10匹以上を要し,値も半定量的であった.1955年ころからエストロン,エストラジオールの結晶が入手できるようになり,硫酸にフェノールが入っているkober試薬,鉄とフェノールが入っている鉄kober試薬(薬局方),近年はハイドロキノンを硫酸に溶かしたキノール硫酸試薬を用いてエストロゲンと加熱して発色を同時に発蛍光させ,比色または蛍光法で測定されるようになって,尿中エストロゲンの臨床的診断の一つとして用いられるようになった1).その後エストロゲンに対する抗体を用いて免疫的な血球凝集阻止反応,ラテックス凝集阻止反応が開発されて短時間に尿中エストロゲンを半定量することができ,妊婦の胎児胎盤検査として汎用されている.
一方,血中のエストロゲンは尿の1000分の1以下で微量のため,ラジオイムノアッセイ(RIA)が用いられ,一部で高速液体クロマトグラフィーが最近ではガスクロマト・マススペクトロメーター(GC・MS)が用いられるようになった.
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