アーチファクト
病理組織
河又 國士
1
1中央鉄道病院中検
pp.543
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202788
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写真1 固定液の温度による差異 ×200.H・E染色(以下写真4以外は同染色).クリオスタットが普及する以前は,もっぱらザルトリウス型ミクロトームが用いられ,10〜20%ホルマリンの加温固定が用いられた.aは10%ホルマリン室温固定.肝細胞の核および細胞質,肝細胞索間の毛細血管に著変はない.bは同一検体の一部を10%ホルマリンに入れ煮沸寸前までの加温を約2分間行った後,通常の方法でパラフィン包埋したもの.単位面積当たりの細胞および核の増多と毛細血管腔の狭小化は,加温固定により全体的な収縮を示唆,加温により染色性にも変化が表われ共染が著明となる.
写真2 Carnoy固定の過固定 ×200.aはCarnoy液で2時間固定したもの.bは24時間固定したもので,左に比較し単位面積当たりの細胞および核の数,毛細血管腔の狭小化は全体の収縮を示し,さらに細胞質内の顆粒化が著明,Carnoy固定では赤血球の溶血が通常でも見られ,左写真の毛細血管内のghostは明瞭であるが,24時間後では明らかなghost(↓)がほとんど見られないほど固定液による変化が著しい.
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