検査法の基礎理論 なぜこうなるの? 筋電図検査・2
神経伝導速度
佐藤 勤也
1
1日本大学駿河台病院整形外科
pp.863-867
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202593
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末梢神経が刃物などにより完全に切断されれば,その神経により支配されている筋肉は動かなくなるし,皮膚の知覚も完全に脱出する.このような場合には診断は簡単にできるし,電気生理学的補助診断が必要だとしても通常の筋電図検査だけで十分である.しかし,外傷とはまったく関係なく全身的あるいは局所的原因により,末梢神経障害がおこることも少なくない.このような神経の連続性がもたれた状態での末梢神経障害もまた,日常よく遭遇するものである.例えば糖尿病患者における末梢神経の病変や,局所的な神経の絞扼などの場合には,神経障害の有無はもちろんのこと,障害部位や程度を臨床症状から正確に判断することは容易でない.また,小児や非協力的な患者や詐病者などでは神経症状の客観的な把握が一層困難である.
このような場合には,神経の軽微な障害にも対応して異常を示す神経のインパルスの伝導速度を測定すれば,他の電気的補助診断法ではうかがい知ることのできない変化でも補足することができ,神経の障害部位と程度が客観的かつ定量的に判断できる.
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