トピックス
腫瘍マーカー
溝口 香代子
1
1慶大病院中検
pp.352
発行日 1982年4月1日
Published Date 1982/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202479
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元旦の新聞に,がんによる死亡率がついに脳卒中を抜いて第一位になったことが報じられていた.癌――悪性腫瘍の成因論や治療に関しての研究は現代医学の最大の課題となっている,癌の診断には種々の方法が駆使されているが,最近,本来生体内ではほとんど存在しないが,癌などの腫瘍組織での産生,もしくは局在が証明される物質が続々と明らかにされるようになってきた.これらのものを総称して腫瘍マーカーと呼んでいる.腫瘍マーカーとしては,癌胎児性蛋白,腫瘍関連抗原としての蛋白成分,各種の酵素やそのアイソエンザイム,ホルモン,ヌクレオシド,ポリアミンなどが報告されており,それらの分析方法や陽性率と偽陽性率,診断のための有効な組み合わせ(multiple markers assay)等についての議論が活発になってきているようである.1981年9月には第1回腫瘍マーカー研究会が開催され,また第28回臨床病理学会総会でもシンポジウムのテーマとして取上げられている.
肝癌におけるα-フェトプロテイン(α-FP),消化器瘤におけるCEAなど,当初は腫瘍に特異的と考えられていたものも,その大部分は必ずしも悪性朧瘍特異的でないことが明らかにされてきている,しかしその臨床的意義は,特に悪性疾患の術後管理や治療効果判定マーカーとして重視されており,特に各種マーカーの効果的組み合わせによって再発再燃の予知ができるとの議論が多いようである.腫瘍マーカー研究会で発表された各種マーカーは次のようなもので,測定方法はRIA及びEIAが多かった.
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