技術講座 生化学
塩化物と総二酸化炭素含量の定量法
井 宣隆
1
1東海大学病院中央臨床検査室
pp.227-234
発行日 1981年3月1日
Published Date 1981/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202234
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血清電解質を測定して結果を評価する際に必要なことは,個々の陰陽イオンの濃度の変動に注意すると同時に,それらイオン間の全体としての平衡関係を評価することである.
後者の場合,最低Na+,C1-,HCO3-の3項目の成績が必要である.この際,これら以外の陰陽電解質の濃度を一応一定,すなわちK+,Ca2+,Mg2+(計7mEq/l),リン酸塩,硫酸塩,有機酸,蛋白質(計25mEq/l)とみなすと,Na+-(Cl-+HCO3-)=10〜15mEq/lとなる.この差が陰イオンギャップと言われる.健常時にはCl-とHCO3-は互いに反対方向に変動するため,それらの和は狭い範囲にとどまる.しかし腎不全でPO42-,SO42-が増加したり,糖尿病性アシドーシスでCl-,HCO3-ともに減少した場合は,陰イオンギャップは増大する.したがってこの値を計算すれば,上記の病態を間接的に推定することができる.
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