特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis
Ⅵ.出血性素因の新しい検査法と問題点
5.血小板抗体検出法
柴田 洋一
1
1東京大学病院輸血部
pp.1418-1423
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915639
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血小板抗体の検出は主に二つの点で現在ますます重要となっている.一つは白血病患者や化学療法中の患者で,血小板減少を来した人々への血小板輸血に際してである.繰り返し血小板輸血を受けた患者では約80%の症例で血小板抗体(同種抗体)が生じる.いったん血小板抗体が生じると,それ以降の血小板輸血で血小板が急速に抗体によって破壊され,有効な輸血にならず発熱などの副作用が起こる(refractory state).このような状態になった患者への血小板輸血では,患者のHLA型と適合する供血者の血小板を輸血することが現在最も有効な手段である.しかしこのように供血者を選択しても約2割は無効と言われ,血小板型に対する抗体の存在が考えられている.したがって患者に血小板抗体が存在するか否かを決めるため,及び現在急速に普及しつつあるsin-gle donor plateletpheresis (Haemonetics model 30, IBM2997を使用)での血小板交差適合試験を行うために,血小板抗体の検出が重要である.
もう一つは長年にわたって大きな疑問を残してきた,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者中での血小板抗体(自己抗体)の検出である.
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