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1949年に短時間作用する筋弛緩剤としてサクシニルコリンが紹介されて以来,この薬剤の使用後の遷延した無呼吸,明らかにかなりの外科的リスク(危険)を呈した例の報告がなされてきた.さらに呼吸不全,心血管虚脱や死を含む合併症も報告されている.サクシニルコリンに対する感受性の増大と血清コリンエステラーゼあるいは偽性コリンエステラーゼ量との間の関係は1950年代に確立され,この酵素の異型についても記載された.
偽性コリンエステラーゼ(acylcholine acyl-hydrolase, E.C. 3.1.1,8)はコリンエステルの水解を触媒する.この酵素の生理機能は不明のままであるが,神経・筋遮断物質であるサクチニルコリンの急速な破壊に関与する.
偽性コリンエステラーゼ活性はある人口集団内でも幅広く変動する.正常値以下の値は肝疾患,悪性腫瘍,貧血,低栄養状態,妊娠,有機リン殺虫剤への暴露などを含む二次的障害により,あるいはこの酵素の異型の遺伝によりみられる,異常に低値を示した場合はサクシニルコリンのゆっくりした,あるいは不十分な水解による以外は明らかな生理的所見ではない.
Since the introduction of succinylcholine as a short-acting muscle relaxant*1 in 1949, there have been numerous reports of patients, apparently good surgical risks*2, who have experienced prolonged apnea after receiving the drug. Further complications*3, including respiratory failure, cardiovascular collapse, and death, have also been reported. The relationship between increased sensitivity to succinylcholine and decreased levels of serum cholinesterase, or pseudocholinesterase, was established in the 1950 s, and an atypical form of the enzyme was described.
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