東西南北
臨床検査と光分析とセンサー
田村 正平
1
1東京大学・物性研究所化学分析室
pp.778
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202132
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光を使う分析法が臨床検査に多用されてからすでに久しい.今や日常の業務のなかで分光光度計を中心とした光分析機器に縁のない方法が少なくないほどである.しかも大して注意を払わなくても順調に結果が出てくるように見えるので,データの誤差検討とか,機械の保守には無神経になりがちである.これは機器の発達について少しは責任のある立場から見ると,"有難い"とも"プロは一見して何気なく行動すべきで,常に困難を先取りする喜びを誇としたい"などとも感じているが,内心では"そんなに手放しで安心されると困るのだが……"という心配もある。
というのは,試薬による呈色を吸光分析によって測る,いわゆる比色法も,発色とくに微量分析向きとして近時多用される螢光法も,さらに試料を直接,炎や炭素ロッドの内に入れ分解加熱する炎光法や原子吸光法も,実はまだまだかなりの問題を含んでいる.
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