整形外科英語ア・ラ・カルト・8
“BONE”に関する日常英会話
木村 專太郎
1
Sentaro Kimura
1
1那珂川病院
pp.162-163
発行日 1993年2月25日
Published Date 1993/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901046
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日常英会話で,ものごとを直接表現せず,色々の言葉を用いて,間接的に表現することが多い.私が米国に行って間もないころ,ある医師が“He will put you against the wall.”と私に言ったことがある.これは御想像がつくと思うが,「どうしようもない状態まで追い詰める」ことである.勿論日本語にもこの種の表現法は多い.
4~5年前,まだ御健在の昭和天皇が園遊会を催され,各界の知名の士を招待された折,その中の一人に柔道の山下泰裕選手も招待されていた.天皇陛下が招待された一人一人に御言葉をかけられていた.陛下が山下選手に,「稽古は骨が折れるでしょう」と言われると,陛下の前で緊張のあまり,山下選手は「はい昨年は骨折しました」と答えたことを思いだす.これに似た表現法は英語で,“break one’s leg”がある.他人に“Break your leg.”と,言えば,命令形で「脚を折れ」という意味であるが,これには逆説的な意味がある.たとえば,友人がスキー旅行に行く前や,色々のパーフォマンスを行うために舞台に上がる前に,この言葉“Break your leg.”を使うと,原義とは逆に“Good luck.”の意味になる.
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