病気のはなし
てんかん
大高 忠
1
,
宮坂 松衛
1
1獨協医科大学精神神経科
pp.876-883
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201941
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てんかんに関する記述は古くHippocratesの時代からみられる.彼はこの病が脳に起因することを示唆しているが,この病態に関する近代的概念はJackson, H.(1834〜1911)に始まる.彼は,この病態が"大脳灰白質に突然起こる,急激で過剰な放電"を本態とする疾患で,表出される臨床症状は"局所性放電の起こる場所によって異なる"という優れた仮説を提起した.その後,脳波の発見に伴い,後に述べる純粋小発作と3Hz棘徐波複合との関連などが見いだされ,この仮説が実証された.現代では,てんかんとは"種々の病因を持つ一種の慢性の脳の病態(achronic braindisorder)であり,脳内ニューロンの過剰な放電により,繰り返し起こる発作(てんかん発作)を特徴とし,様々な臨床的及び検査上の表出を伴う"ものと定義されている2).
臨床的表出すなわち発作症状としては,①意識障害,②けいれんや脱力などの運動機能の過剰または喪失,③しびれ感や幻覚のような非特殊性及び特殊性の感覚(知覚)障害,④各種の自律神経症状,⑤思考や情動面の異常のような精神症状があり,検査上の表出としては,いわゆるてんかん性脳波があげられる.
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