測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
免疫粘着反応
田中 忍
1
1東京都立臨床医学総合研究所 補体・トキソ部
pp.808-814
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201924
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免疫粘着反応(Immune adherence;IA)とは,抗原抗体複合体に補体が反応してできた結合物が,ヒトまたはサルなどの霊長類の赤血球や非霊長類の血小板に強く付着する現象を言う.
1953年にR. A. Nelsonはサルの実験において,梅毒の病原体であるTreponema pallidum(TP)を,抗体,補体とともにサルの赤血球を加えて混合後,軽く遠心すると,TP菌体が上清から消失あるいは減少することを発見した.これはサルの赤血球に,抗体及び補体と反応したTPが付着することにより起こったもので,IA反応と命名し報告した1).しかし,これより先,1901年には,Levaditiは免疫した家兎の体内で,注入したコレラ菌が血小板や多核白血球に吸着したと報告している.また,免疫ラット体内で,トリパノゾーマが白血球に吸着することを観察した,Laveranの実験報告に見られるように,免疫粘着現象の観察は既に早くからなされていた.その後IAに関する補体の解析が進み,1963年には西岡らによって,IA反応に関与する補体としては,現在知られている9成分のうち,最初に抗原抗体複合体に反応する4成分(C1,C4,C2,C3)のみが必要であることが証明された2).
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