測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
インフルエンザ菌はなぜ特殊培地を必要とするか
猿渡 勝彦
1
1長崎大学病院検査部
pp.545-549
発行日 1979年7月1日
Published Date 1979/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201872
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Haemophilus属菌,特にインフルエンザ菌は慢性呼吸器感染症や小児の髄膜炎あるいは敗血症などに関与し,時に重篤な経過をたどる場合があることは衆知のとおりであるが,このインフルエンザ菌を含むHaemophilus属は通常の合成培地に発育することができず,これに血液を加えることにより,初めて発育することができるようになる.このために血好性菌とも呼ばれ,Haemophilusという名前の由来もここにある.しかし血液寒天培地を用いても必ずしも良好な発育を示さず,そのためもっぱら分離培地としてはチョコレート寒天培地が用いられている.
このようにHaemophilusが発育に際してなぜ血液を必要とし,普通の培地に発育しないのか,また用いる血液の種類によっても,その発育状態が異なるのかなどについて,他の細菌と比較しながら簡単に説明を加えることにする.
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