最近の検査技術
替刃式ミクロトーム刀
武石 詢
1
1東京女子医科大学第1病理
pp.259-264
発行日 1979年3月1日
Published Date 1979/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201809
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ミクロトーム刀研磨の現状と問題点
顕微鏡標本の作製には互いに関連する多くの過程があるが,その中心をなすものは固定,包埋,薄切の三者である.これら三者にはそれぞれ多くの未解決部分があるが,中でも薄切,特にミクロトーム刀研磨に関する部分が最も多いように思われる.
現今ミクロトーム刀研磨は何らかの型の自動研磨機を用いて自家で行う場合と,研磨業者に外注する場合があるが,以前の手砥ぎに比して自動研磨機の出現が一つの革命をもたらしたとは言え,まだ幾つかの基本的問題点を残している.以下その問題点を要約すると,(1)研磨にかかり合っている時間がまだ長過ぎる.(2)砥ぎ上がりが一定でない.(3)切れ味が不十分である.(4)メスキズが残りやすい.(5)大きいメスキズを取るのに非常に時間がかかる.(6)研磨機を用いても最後の仕上げは依然として作業者の勘に頼らざるを得ない.(7)外注時には常に多数の刀を保有する必要があり,また研磨の費用が嵩むうえに仕上がりも常に満足すべきものとは言えない.などであろう.
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