技術講座 細菌
表皮ブドウ球菌の同定と生物型
潮田 弘
1
1東京都立衛生研究所細菌第一科
pp.730-736
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201693
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表皮ブドウ球菌(以下S. epidermidisと記する)は空気中,水,ごみなどあらゆる生体外の場所に,またヒトや動物の皮膚,鼻・咽腔粘膜,腸管内にも生息し,自然界に広く分布している.S. epidermidisは一般に菌力が低く,起病性が黄色ブドウ球菌(以下S. aureusと記する)に比して弱いと考えられ,それだけに軽視されがちである.しかしながら,近年,各種臨床材料からの本菌の検出率が上昇傾向にあり,Opportunisticinfection(日和見感染と訳されている)とのかかわりも考えられ,注目されてきている.
清水1)の報告では昭和30年台にはS. aureusが主体で,S. epidermidisはその10%ぐらいであったのが,昭和40年台後半からS. aureusとほぼ同程度に検出されており,この傾向は多くの施設で認められている.これは単に感染症の原因菌の変遷といったものではなく,様々な要因がおりなすための結果と考えられる.
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