おかしな検査データ
コレステロールの酵素的測定法におけるビリルビン,アスコルビン酸の干渉
小川 善資
1
,
林 長蔵
1
1大阪大学病院中央臨床検査部
pp.592-593
発行日 1978年7月1日
Published Date 1978/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201666
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コレステロールの酵素的測定法は開発後急速な普及を示し,その長所は論ずるまでもないが欠点もある.高ビリルビン血清やアスコルビン酸によって負の干渉を受けることである1).
ビリルビンの影響についてコレステロールオキシダーゼ(以下CODと略す)-ペルオキシダーゼ(以下PODと略す)法で観察したものが図1で負の干渉があることが分かる.そこで吸収曲線からその影響をみた.図2は①20mg/dlビリルビン溶液,②400mg/dlコレステロール・スタンダードの発色液,③20mg/dlビリルビン+400mg/dlコレステロール・スタンダードの発色液と,①+②の合成した④,の4つの吸収曲線を示した.ビリルビンが全く干渉がなければ①+②の合成したものと③の吸収曲線が一致するはずである.しかし,実際に発色させた吸収曲線では500nmの極大吸収は短波長側にシフトせず,極大吸収値が低下し,400nm近辺の低波長領域で吸収の増加していることが分かる.これはビリルビンがいずれかの反応に関与し,ビリルビン自身もほかの物質に変化していることが分かる.そこで,この反応をCOD反応とPOD以下の反応の2つに分けて考えるため,COD-カタラーゼーハンツ反応で同様の実験を行い,その干渉の程度を観察したものが図3と図4である.ここではほとんど影響を受けていないことが分かる.
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