測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
尿中細菌数測定法とその意義
猪狩 淳
1
1順天堂大学臨床病理
pp.114-118
発行日 1978年2月1日
Published Date 1978/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201554
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細菌尿の決定
尿路感染症の確実な診断は尿の細菌学的検査によって決定されるが,その診断上特に重要なことは細菌尿の決定である.
細菌尿の決定のためにはKass1)の"105/ml以上の菌数が細菌尿の条件である"という定義があるが,それはあくまで汚染による雑菌混入と区別するためのものである.すなわち,Kassは採尿に際して混入した汚染菌と真の細菌尿との区別を,定量培養における105/mlという細菌数において,1回の検査で105/ml以上の細菌数ならば80%の,2回目の検査でも同様であれば95%の信頼性をもって細菌尿の存在を推定しうるとした.尿中菌数が105/ml以下の場合でも尿路感染がありうることもあるが,現在ではKassの言う尿中細菌数が105/ml以上が細菌尿・尿路感染の臨床検査診断の基準として採用され,一般化しているわけである.しかし,これは検査材料として中間尿を用いた場合に限るのであって,恥骨上部より膀胱穿刺をして採尿した尿の場合は血液培養検査や髄液培養検査と同様に,細菌が検出されれば,それが原因菌とすることができることは言うまでもない.
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