検査の昔ばなし
私が臨床化学に手をそめたころ
吉川 春寿
1,2
1東大・栄養学
2女子栄養大
pp.150-151
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201292
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近ごろ時々,臨床検査センターを見せてもらう機会があるが,そのたびに臨床化学検査の自動機械化に驚くばかりである.十何チャンネルかの自動分析装置を,それも2台も3台も置いてたくさんの検査材料をこなしてゆく光景は全く見事というほかない.大量生産して省力化すれば単価は安くなり,従って利潤は大きくなる,という経済上の原則によるのだろう.ここまで進歩した,というか,変貌したというか,している今,昔のことをくどくど書いてもしようがないとも思うが,臨床化学発展史の些細ながら一史料ともなるかと思うので,筆をあえてとることにした.
私が大学を卒業して生化学教室に入ったのは昭和のはじめである.医学部の生化学の仕事として尿や血液の分析がまだ重要な位置を占めていた.だから,生化学教室に入ると,だれでも臨床化学検査向きの定量分析法を基礎から実習させられた.私は将来生化学をやることに決めていたので,1年生の時から毎年夏休みにこの実習をさせてもらった.
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