測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
ガラス板法の注目すべき点
松橋 直
1
1東大医科学研究所アレルギー学研究部
pp.735-738
発行日 1976年10月1日
Published Date 1976/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201173
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梅毒が大流行し,カルジオライピン・レシチン(cardiolipin-lecithin)を用いた血清学的診断法の研究が盛んであったころ,筆者も簡易法,しかも全血法で使える方法の開発を緒方富雄先生から厳命され,この開発に専念していた.昭和25年(1950)ごろである.米軍からVDRL法の抗原を入手した.また,米国のVenereal Disease Research Laboratoryの月報のようなもので,VDRL法の存在を知った.簡易法であるから,筆者がその方法ならびに抗原に興味を持ったことは言うまでもない.
当時の筆者が工夫した方法も抗原のカルジオライピン(CL),レシチン(L)の比率はVDRL抗原と大同小異であったが,方法の術式が非常によく吟味されていたのには驚かされた.しかし,筆者が工夫した炭素粒子を用いる方法,プラスチック粒子を用いる方法との間で,全体としての成績はそれほどの開きはなかった.なぜならカルジオライピン・レシチンを用いると,抗原そのものが精製されているので,どんな方法でやっても,ゆくところまではゆき,梅毒患者血清の95%以上の陽性率を示し,いろいろな方法の優劣は,ほんの数%の違いで決められるからであった.
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